The 16th Annual Japanese Language Speech Contest was held on Saturday, January 22nd, 2005 at St. Edwards University in Austin. The contest was organized by The Consulate-General of Japan at Houston and Japan-America Society of Greater Austin.

Eric Tschetter was selected as a Grand Champion and received a round-trip ticket to Japan from Continental Airlines.

by エリック・チェッター

日本語、お上手ですね

一年間大分大学に留学してきたテキサス大学の四年生のエリックです。留学している間、かなり上達が実感できましたが、今回のテーマはその留学での最初に気づいたことなのに、ちょうど帰国するときにやっと意味のわかったことについて話したいと思います。それは「日本語、お上手ですね」という表現です。

「日本語、お上手ですね」、「そんなことありません」といったやり取りはテキサス大学の授業で覚えましたし、「日本語、お上手ですね」というのはそんなに深く考えないほうがいいとも教えてもらいました。しかし、実際に日本に行って何回も言われると鼻高々になるのは仕方のないことだと思います。お世辞でなく本当に誉められているんだと、思えてくるのです。

とはいえ、なぜお世辞でなければならないのですかという質問もあると思います。その答えは、単に日本語が本当に上手な人に「日本語お上手ですね」ということはないのです。本当に上手だと「日本育ち」とか「長く日本に住んでるんだろうね」と相手の日本人が思うはずです。そう思って、普通に言いたいことを言って、普通にコミュニケーションをとって、日本人なら言わないことをひとつも言わないのです。

もし「日本語、お上手ですね」という表現は上手だという意味を持たないのなら、どういう意味を持つかというと、「日本語を勉強してくれて嬉しいのですが、まだまだなので、頑張ってくださいね」という解釈しか、私自身ができないのです。つまり、それを言った日本人が言って逃げようとしているような気がします。というのは、その表現を使って会話を終わらせることが多いからです。

自分の経験によると、留学生の間では、「日本語、お上手ですね」と言われることがからかうきっかけとなりました。言われると、「ああ、日本語頑張る必要あるねぇ」とか「発音悪いね」とか周りの友達が冗談を言い合いました。今でも、「日本語、お上手ですね」と言われると「はあぁ、またかよ。よし、頑張らないとね!」というように思います。ですから、一番嬉しい日本人との会話は誉め言葉なしで話すときです。

では、誉め言葉ではないのなら、誉めたいときにどういえばいいかというと、その場でどういうところが特にいいかということを考えて、誉めてほしいのです。ということは全面的に日本語が全部「お上手」ではなく、ひとつの部分を選んで強調してほしいのです。発音でも、言葉遣いでも、自然さでも、どのところでもいいのですが、ただ、ひとつを選んで誉めないと少なくとも私の周りに居た日本語を学習している外国人が誤解してしまいます。

人間関係の複雑な世の中で、我々は生きて行こうとしています。そのため、わかりあうことを優先すべきだというように思います。つまり、自分の言いたい意味だけでなく、相手の解釈する意味を理解した上で、接していくことが重要だと思います。その中で、「誉める」、「誉められる」、それが第一歩では、ないでしょうか。